治療院・整骨院向けにお作りした本です
選ばれる治療院になる、はじめての情報発信
発信と、その次の一歩をつなぐ
※ お客様の情報は伏せています。著者名・屋号は◯で表示しています。
はじめに
「動画はもう三百本以上あります。それなのに、講座の申し込みが来ないんです」
そう話す治療家の方に、これまで何人もお会いしてきました。
撮影も編集も、何年も続けています。
再生数もそれなりにあり、コメントも届きます。
それでも、講座やセミナーの募集をかけたときだけ、返ってくる反応が急に静かになる。
このとき、多くの方が最初に考えるのは「本数が足りないのではないか」ということです。
もっと出そう、もっと頻度を上げよう、と。
けれど本数を倍にしても、たいてい同じことが起きます。
次に考えるのは「編集が古いのではないか」「サムネイルが弱いのではないか」。
そうして、手を入れる場所が少しずつ外側へずれていきます。
足りないのは、量ではありません。
発信と、その次の一歩が、つながっていないだけです。
この本が扱うのは、そのつなぎ目です。
この本が扱わないこと
まず、扱わないことをはっきりさせておきます。
ひとつめは、集客の手法です。
どの媒体をどの頻度で更新するか、広告をどう出すか、予約システムをどう組むか。
こうした話は、すでに優れた本がいくつも世に出ています。
同じことをもう一度書いても、あなたの本棚を重くするだけです。
ふたつめは、施術の技術論です。
これは書けない、というより、書くべきではありません。
この本を手に取っている方は、施術については専門家です。
門外漢が技術の話に踏み込めば、粗が出るだけで、読む価値が下がります。
みっつめは、成果の数字です。
この本には「月商いくらになります」「集客できます」といった約束を一切書きません。
理由は三つあります。
再現性を保証できないこと。
医療広告の規制と隣り合わせであること。
そして一度その言い方を使うと、以後ずっとその基準で見られてしまうことです。
この三つめが、いちばん重いと考えています。
この本が扱うこと
扱うのは、発信の中身と、その次に置くものの設計です。
あなたはおそらく、もう十分に発信しています。
動画も、投稿も、施術後の説明も。
そこに新しく何かを足す必要は、実はあまりありません。
必要なのは、いま出しているものと、あなたが持っている講座や施術のあいだに、段を置くことです。
段がなければ、人は跳べません。
跳べないことを、興味がないと読み違えてしまうと、また本数を増やす方向へ戻ってしまいます。
本書の使い方
第1章から第2章で、いまの発信に何が起きているのかを整理します。
第3章が本書の中心です。
発信と商品のあいだに三段の階段をかける考え方を扱います。
第4章は、それを続けるための仕組み。
第5章は、散らばった発信を一か所にまとめる手段として、本という選択肢を中立に検討します。
そして本書の最後には、ここで書いたことをそのまま使った誘導を、一つだけ置いています。
読み終えたときに、それが何をしている一ページなのか、分かるようになっているはずです。
読み終えたときに、明日やることが一つだけ決まっていれば、この本の役目は果たせています。
第1章 発信しているのに、伝わっていない






発信が届かないとき、原因を「回数」に求めてしまうのは自然なことです。
手を動かせば動かした分だけ何かが変わる、というのは、施術の世界ではおおむね正しいからです。
けれど発信では、同じ言葉を百回くり返しても、届かないものは届きません。
回数の問題ではなく、言葉の置き場所の問題だからです。
この章では、いま出している発信に何が起きているのかを、四つの角度から見ていきます。
どれも、直すのに新しい機材も新しい媒体もいりません。
使う言葉を選び直すだけです。
1.1 「肩甲骨の可動域」は、相手の言葉ではない
施術の説明をするとき、つい使ってしまう言葉があります。
可動域、代償動作、アライメント、インナーマッスル。
どれも正確な言葉です。
学んできた分だけ、正確に言おうとするのは当然のことです。
問題は、その言葉が正しいかどうかではありません。
相手の頭の中に、その言葉が置かれていないということです。
体の不調を抱えている人が、頭の中で使っている言葉は、たとえばこうです。
「上の棚のものを取るとき、いちいち体ごと向きを変えている」「洗濯物を干すと、途中で腕を下ろして休みたくなる」「美容室で上を向かされるのがつらい」。
「肩甲骨の可動域が落ちています」と「洗濯物を干すとき、途中で腕を下ろしていませんか」は、同じことを指しています。
けれど後者だけが、相手の生活の中に着地します。
同業者に向けた発信でも、まったく同じことが起きます。
たとえば「開業支援」という言葉。
これは提供する側の言葉です。
受け取る側の頭の中にあるのは、「今の職場をいつまで続けるのか、自分で決められない」「独立した人の話を聞きたいが、まわりに聞ける相手がいない」といった、もっと具体的で、もっと言いにくいことです。
実際に、同業者向けに発信している治療家のチャンネル二百件あまりを調べたことがあります。
そこで最も多く使われていた言葉は「技術」で、次が「開業」でした。
一方で「不安」という言葉も少なからず出てきます。
技術と開業は提供する側の言葉で、不安は受け取る側の言葉です。
この二つが同じ文章の中で混ざったまま、整理されずに置かれていることが少なくありませんでした。

言い換えには、決まった手順があります。
まず、使った専門語を書き出します。
次に、その状態にある人が「日常のどの場面で困るか」を一つ挙げます。
最後に、その場面をそのまま文にします。
専門語は消してかまいません。
消しても、あなたの中の理解は減りません。
このとき、少しだけ勇気がいります。
専門語を外すと、内容が浅くなったように感じるからです。
けれど、読む人にとっての深さは、用語の難しさでは決まりません。
「なぜ自分の困りごとを知っているのだろう」と思わせられたかどうかで決まります。
もう一つ、専門語と並んで届きにくくなる言い方があります。
主語が、こちら側になっている文章です。
「当院では、独自の手技で全身を整えます」「丁寧なカウンセリングを心がけています」。
どちらも悪いことは書いていません。
ただ、主語が最後まであなたのままです。
読んでいる人は、その文章のどこにも登場しません。
これを「上を向くのがつらい方には、首だけを触らずに、背中側から順番に見ていきます」と書くと、主語が相手に移ります。
やっていることは同じで、書き方だけが違います。
自分の発信を五本ほど読み返して、一行目の主語だけを確かめてみてください。
こちらが主語になっている文章が続いていたら、そこが直す場所です。
この作業には副産物もあります。
相手の言葉で書こうとすると、相手の生活を思い出す必要が出てきます。
すると、書きながら「そういえば、あの方はこう言っていた」と、次の素材が勝手に出てきます。
言い換えは、書く作業であると同時に、思い出す作業でもあります。

1.2 上手い施術と、伝わる説明は別の技術
長く続けている方ほど、説明が短くなります。
これは手抜きではなく、熟達の自然な結果です。
体に触れた瞬間に、いくつもの情報が同時に入ってきます。
そこから判断までの道筋が、頭の中で短絡されている。
だから「あ、これですね」で終わってしまう。
実際にそれで合っているので、なおさら短くなります。
けれど発信の相手は、その短絡を共有していません。
あなたが飛ばした三つの段階を、相手は一つも持っていない状態で聞いています。
説明の技術は、施術の技術とは別に鍛える必要があります。
別の技術だと認めてしまえば、下手であることは恥ではなくなります。
二十年やってきた施術と、始めたばかりの説明を、同じ基準で比べる必要はありません。
伝わる説明には、共通する順番があります。
はじめに、相手が困っている場面を置きます。
次に、そこで体の中で何が起きているかを、ひとつだけ言います。
ふたつ言うと、そこで相手は離れます。
そして、だからどうすればいいかを、ひとつだけ言います。
最後に、それをいつやるかを決めます。
四つです。
原因を三つ挙げたくなっても、我慢します。
正確さが増えるほど、行動は減ります。
伝わったかどうかは、その場で確かめられます。
説明のあとに、相手が何と言うかを聞いてください。
「なるほど」「そうなんですね」で終わったときは、たいてい伝わっていません。
理解したのではなく、話が終わったことを認めただけです。
伝わったときには、相手のほうから具体が返ってきます。
「じゃあ、あの姿勢はよくないんですね」「仕事中にもできますか」。
自分の生活の話に置き換えられた瞬間、その人の中に入っています。
この反応の差は、そのまま発信にも使えます。
コメントや返信が「ありがとうございます」ばかりなら、まだ受け取られただけです。
「自分もこうなんですが」と自分の話が返ってきたら、その一本は届いています。
どの一本で自分の話が返ってきたのかを、記録しておいてください。
数字より、はるかに役に立つ指標になります。
再生数は増えても届いていないことがありますが、自分の話が返ってきたときは、必ず届いています。
もうひとつ、説明が短くなる理由があります。
それは、同じ説明を毎日していると、自分にとって当たり前になりすぎることです。
「そんな当たり前のことを発信しても仕方がない」と感じる内容ほど、外の人にとっては新しいものです。
この感覚のずれは、自分では気づけません。
だからこそ、次の章で扱うように、いつも言っていることを一度そのまま書き出す作業が効いてきます。
1.3 見ている人は「自分のことだ」と思えたときだけ動く
発信の届き方を分けるのは、内容の良さではありません。
読んだ人が「これは自分に向けて言われている」と感じたかどうかです。
たとえば「肩こりでお悩みの方へ」。
悪くはありませんが、範囲が広すぎます。
日本中のほとんどの人が当てはまるので、結果として誰も自分だと思いません。
これを「デスクワークで、夕方になると首の後ろが重くなる方へ」にすると、対象は明らかに減ります。
減るのですが、当てはまった人の反応がまるで変わります。
当てはまらなかった人は、もともと来ない人です。
同業者向けの発信でも同じです。
「セラピストのみなさんへ」は、誰にも刺さりません。
「開業して二年目で、新規は来るのに次の予約が入らない方へ」なら、当てはまる人は自分の話だと感じます。
主語を狭めることは、対象を捨てることではありません。
届く相手を決めることです。

主語を狭めるときに、迷いが出ることがあります。
「そんなに絞ったら、来る人が減るのではないか」という迷いです。
これは、順番を取り違えています。
狭めた発信を見て来た人は、来た時点であなたの話に納得しています。
広い発信で来た人は、まだ何も決めていません。
同じ一人でも、その後の話の通じ方が違います。
もうひとつ、絞り方には方向があります。
症状で絞る方法と、場面で絞る方法です。
場面で絞るほうが、たいてい強く効きます。
症状は医学の言葉ですが、場面は生活の言葉だからです。
書き出しの一行に、その場面を置いてください。
動画なら最初の五秒、投稿なら一行目です。
そこに置ききれなかったものは、後ろに回してかまいません。
それでも絞るのが怖い、という場合があります。
とくに、地域で長くやっている方ほど、来てくれている方の顔が浮かぶので、誰かを外すような気がしてしまいます。
その場合は、こう考えてください。
絞るのは、一本ごとです。
全体ではありません。
今日の一本は夕方に首が重くなる方に向けて書き、次の一本は朝の一歩目がつらい方に向けて書く。
並べたときには広い範囲を扱っていることになります。
狭いのは一本の中だけで、全体は狭くなりません。
この形にすると、書くことにも困らなくなります。
「肩こりについて」というテーマは一回で使い切ってしまいますが、場面で分ければ、同じ肩こりから十本以上が出てきます。
絞ることは、減らすことではなく、割ることです。
1.4 発信の目的を一つに絞る
発信には三つの目的があります。
知ってもらうこと、信じてもらうこと、動いてもらうことです。
この三つは、順番に並んでいます。
知らない人はいきなり動きません。
知っていても信じていない人は、やはり動きません。
当たり前のようですが、一本の発信にこの三つを全部乗せてしまう人は、とても多いのです。
たとえば、こんな投稿です。
はじめに症状の説明があり、途中で自分の経歴が入り、最後に講座の案内がある。
三つとも入っていて、丁寧です。
けれど読み終えた人は、何をすればいいのか分かりません。
全部入っているということは、どれも中心にないということだからです。

一本につき、目的は一つに決めます。
決めると、終わり方が変わります。
知ってもらうことが目的なら、終わりは「今日の話は以上です」で構いません。
何も求めません。
信じてもらうことが目的なら、終わりは「同じような方が、こういう経過をたどりました」といった、判断材料の提示になります。
動いてもらうことが目的なら、終わりは一つの行動だけを書きます。
二つ書くと、選ぶという作業が発生して、多くの人はそこで止まります。
自分の発信を十本ほど並べて、それぞれがどの目的だったかを分けてみてください。
たいていの場合、片寄りが見つかります。
多いのは、知ってもらう発信ばかりが並んでいる状態です。
技術の解説はここに入ります。
役に立つのですが、これだけをいくら重ねても、次の段には進みません。
反対に、動いてもらう発信ばかりが並んでいる状態もあります。
募集、募集、また募集。
この場合、見ている人は「売り込みの人」として処理してしまいます。
一度そう分類されると、内容を読んでもらえなくなります。
三つの目的を、意識して混ぜること。
混ぜるのは一本の中ではなく、並び全体の中で、ということです。
そして、この章の話は結局、次の章につながります。
目的を分けようにも、素材がなければ分けられません。
けれど素材は、これから作るものではありません。
もう、あなたの手元にあります。
第2章 あなたの素材は、もう十分そろっている






発信が続かない理由を聞くと、いちばん多く返ってくるのは「ネタがない」という言葉です。
けれど、話を三十分ほど伺うと、たいてい五本分くらいのネタが出てきます。
ご本人はそれをネタだと思っていないだけです。
この章で扱うのは、新しく何かを作る方法ではありません。
すでにあるものを、素材として見えるようにする作業です。
棚卸しと呼んでいます。
在庫を数えるだけで、仕入れはしません。
2.1 過去の発信は在庫である
動画を三百本出している方がいるとします。
この三百本を、どう扱っているでしょうか。
多くの場合、出したら終わりになっています。
次を作ることに意識が向いているので、過去のものは過ぎたものとして扱われる。
これは、とてももったいない状態です。
過去の発信は、消えた広告ではなく、棚に積まれた在庫です。
在庫は、並べ替えれば売り場になります。
たとえば、三百本の中から「同じテーマを扱っている五本」を集める。
それだけで、一つのまとまりができます。
まとまりには入口をつけられます。
「腰まわりの話をまとめました」という一枚があれば、初めて来た人はそこから入れます。
一本ずつバラバラに置かれているものは、通りすがりに見られて終わります。
まとめると、初めての人が奥まで進めるようになります。
在庫として使えるものは、動画だけではありません。
過去の投稿文。
患者さんに渡している紙のセルフケア資料。
院内に貼っている掲示物。
同業者に頼まれて話した勉強会のメモ。
断った依頼と、その理由。
うまくいかなかった症例で、自分なりに考えたこと。
このうち、最後の二つは特に強い素材になります。
断った理由には、あなたの判断の基準が入っているからです。
基準は、技術よりも真似されにくく、そして人が知りたがるものです。
在庫を数えるときは、質を判定しないでください。
判定を混ぜると手が止まります。
まず全部を並べる。
選ぶのは後です。
数え方も、簡単なほうがよく続きます。
紙を一枚用意して、縦に線を引き、左に置き場所、右に本数を書くだけです。
「過去の動画・三百二十本」「セルフケアの紙・四種類」「勉強会のメモ・七回分」。
これで一分です。
この一枚を作ると、たいていの方が驚きます。
思っていたより、はるかに多いからです。
ネタがないと感じていたのは、在庫がなかったからではなく、在庫が見えていなかったからだと分かります。
そのうえで、一つだけ選びます。
いちばん反応がよかったもの、あるいは自分がいちばん話しやすいもの。
どちらでも構いません。
そこから並べ替えを始めます。
全部を整理しようとすると、三百二十本という数の前で止まります。
一つのテーマだけ、五本だけ。
この単位なら、施術の合間の三十分で終わります。

2.2 施術中に必ず答えている質問こそ、いちばん強い素材
一日に何人の方に施術をしているでしょうか。
その中で、まったく同じ質問を何度も受けていませんか。
「これは、なんでこうなるんですか」 「家で何かやったほうがいいですか」 「どのくらいで良くなりますか」 「揉んだら良くないって本当ですか」
この質問たちは、あなたにとっては聞き飽きたものです。
だからこそ、発信の候補から外れています。
けれど外の人にとっては、まさに聞きたいことです。
聞き飽きているということは、それだけ多くの人が抱えているということです。
頻度は需要そのものです。
しかも、あなたはその答えをすでに持っています。
毎日口に出しているので、言葉も磨かれています。
新しく考える必要がありません。
録音して文字にするだけで、そのまま素材になります。
同業者向けでも同じです。
勉強会や交流の場で繰り返し聞かれることが、そのまま講座の入口になります。
「スタッフが辞めてしまう」「単価を上げたいが言い出せない」「紹介が続かない」。
こうした質問は、あなたが答え慣れている領域です。
ここで一段、深く見ておきたいことがあります。
質問には、たいてい裏側があります。
表に出ている質問と、本当に知りたいことが、少しずれているのです。
「どのくらいで良くなりますか」という質問の裏にあるのは、期間そのものではありません。
「この選択で合っているのか」という不安です。
だから、期間だけを答えると、なぜか納得されません。
「家で何かやったほうがいいですか」の裏にあるのは、方法を知りたいという気持ちだけではなく、「自分にもできることがあるのか」という気持ちです。
ここに答えると、量ではなく、続けられる最小の一つを渡すことになります。
同業者からの「単価を上げたいが言い出せない」も同じです。
値段の付け方を聞いているようで、実際には「その値段に見合っていると自分で思えない」という話をしています。
裏側まで書いた発信は、読んだ人に強く残ります。
表の質問に答えただけの発信は、便利ですが忘れられます。
質問メモを書くときは、その日の相手が、どんな表情で聞いてきたかも一言だけ添えておいてください。
あとで裏側を思い出す手がかりになります。
集め方は簡単です。
手帳でも、スマートフォンのメモでも構いません。
一日の終わりに、その日聞かれた質問を一行ずつ書くだけです。
二週間続けると、三十行ほどたまります。
そのうち、同じ内容が何度も出てきます。
三回以上出てきたものは、迷わず発信にしてください。
このとき、答えを書く必要はありません。
質問だけで十分です。
答えは、口に出せるものだからです。

2.3 素材を三つの箱に分ける
素材が集まったら、三つの箱に分けます。
悩みの箱、方法の箱、判断の箱です。
悩みの箱には、「こういうことで困っていませんか」という内容が入ります。
読んだ人が自分のことだと気づくための素材です。
方法の箱には、「こうすると変わります」という内容が入ります。
手順やセルフケア、考え方の順番などです。
判断の箱には、「こういうときはこうする、こういうときはやらない」という内容が入ります。
あなたの基準が出る場所です。

なぜ三つに分けるのか。
理由は、第1章で見た三つの目的とつながっているからです。
悩みの箱は、知ってもらうために使います。
方法の箱は、役に立つと感じてもらうために使います。
そして判断の箱は、信じてもらうために使います。
多くの方の発信を並べると、方法の箱ばかりが積み上がっています。
技術を教える立場の方ほど、この傾向が強くなります。
役に立つ話なので、間違ってはいません。
ただ、役に立つ話だけを見た人は、あなたを「便利な人」として覚えます。
「この人に習いたい」とは、まだ思いません。
そう思うきっかけになるのは、判断の箱です。
何をやらないと決めているか。
どういうときに断るか。
なぜその順番でやるのか。
ここに、その人らしさが出ます。
判断の箱は、いちばん少なく、いちばん効きます。
もし三つの箱の中で明らかに空いている箱があるなら、そこが次に出すべきものです。
とはいえ、判断の箱は、いちばん埋めにくい箱でもあります。
自分の基準というのは、意識せずに使っているからです。
埋め方には、いくつか入口があります。
一つめは、断ったことを思い出すことです。
この状態の方には施術をしない、この時期は様子を見てもらう、この症状は先に別のところへ行ってもらう。
断る判断には、必ず理由があります。
二つめは、順番を説明することです。
なぜそこから触るのか。
なぜ痛いところを最後にするのか。
順番には考えが出ます。
三つめは、変えたことを話すことです。
以前はこうしていたが、いまはこうしている。
何がきっかけで変えたのか。
変化の理由は、そのまま基準の説明になります。
四つめは、やらないと決めていることです。
回数券を作らない、次回の予約を無理に取らない、通う頻度をこちらから決めない。
何をやらないかは、何をやるかより、はっきり伝わります。
この四つのどれかを一つ書くだけで、判断の箱に一つ入ります。
三つ入れば、その人らしさは十分に伝わります。
2.4 「いつも言っていること」を書き出す手順
ここまでの話を、実際にやる手順にまとめます。
所要時間は、合計で二時間ほどです。
一度で終わらせる必要はありません。
第一段階は、録音です。
次に来た方への説明を、了承を得たうえで録音させてもらいます。
難しければ、施術後に一人で、同じ内容をもう一度声に出して録音するだけでも構いません。
むしろこちらのほうが気楽です。
第二段階は、文字にすることです。
全部を丁寧に書き起こす必要はありません。
話した順番と、使った言葉だけを拾います。
ここで気づくことがあります。
自分が思っているより、同じ言い回しを繰り返していることです。
その言い回しが、あなたの型です。
第三段階は、切り分けです。
文字にしたものを、意味のかたまりで区切ります。
一つのかたまりが、そのまま一本の発信になります。
三十分の説明からは、たいてい五つから八つのかたまりが取れます。
第四段階は、箱に入れることです。
切り分けたかたまりを、悩み・方法・判断のどれかに振り分けます。
どこにも入らないものは、いったん脇に置いてかまいません。
この手順で、つまずきやすいところが二つあります。
一つめは、録音を聞き返すのがつらいことです。
自分の声を聞くのは、多くの人にとって気持ちのいい作業ではありません。
対策は簡単で、聞かずに文字にしてしまうことです。
いまは音声を文字にする道具がいくつもありますから、出てきた文字だけを見れば済みます。
二つめは、書き起こしを整えたくなることです。
話し言葉のままだと、言い間違いも、繰り返しも、言いよどみも全部残ります。
これを直したくなるのですが、直さないでください。
直すと、あなたの言葉ではなくなります。
「えー、これはですね、要するに」の「要するに」のあとに出てくる一文が、たいていいちばん強い言葉です。
整えると、その一文の勢いまで消えてしまいます。
整えるのは、発信として出すときの一回だけで十分です。
棚に入れる段階では、荒いままにしておいてください。

この四段階を、一度に全部やる必要もありません。
録音だけ今週、文字にするのは来週、切り分けと箱入れはその次。
三週間に分けても、結果は同じです。
むしろ、間を空けたほうが、自分の話を他人の話として読めるようになるので、切り分けがうまくいきます。
一度やってしまえば、二回目からはずっと軽くなります。
二回目は、録音を撮り直す必要すらありません。
日々の質問メモが、そのまま切り分け済みの素材だからです。
つまり、この手順を通すのは最初の一回だけです。
そのあとは、メモを箱に入れるだけの作業に変わります。
この手順を一度やると、そのあとの発信が変わります。
変わるのは、内容ではありません。
迷う時間が減ることです。
「何を書こうか」から始めると、毎回ゼロからになります。
箱の中から一つ取り出して置く、という形になれば、始めるまでの時間がほとんどなくなります。
ここまでで、素材はそろいました。
次の章が、この本の中心です。
そろった素材と、あなたが持っている講座や施術。
その二つのあいだに何を置くか、という話に入ります。
素材があるのに申し込みが来ない状態は、多くの場合、この置くものが抜けていることで起きています。
第3章 発信と商品のあいだに、階段をかける







ここが、この本の中心です。
前の章までで、伝わる言葉と、手元にある素材がそろいました。
それでも申し込みが来ないとしたら、原因はほぼ一つに絞られます。
発信と商品のあいだに、段がないのです。
段がなければ、人は跳べません。
跳べないことを「興味がない」と読み違えると、また本数を増やす方向に戻ってしまいます。
この章では、そのあいだに何を、いくつ置くのかを決めます。
3.1 なぜ「よかったら講座へ」は届かないのか
動画の最後に、こう入れている方は多いと思います。
「よかったら、講座も開催していますので、詳しくは概要欄をご覧ください」
丁寧で、押しつけがましくなく、感じのいい終わり方です。
それでも、ここから申し込みにつながることは、ほとんどありません。
理由は、押しが弱いからではありません。
距離が遠すぎるからです。
その動画を見ている人は、たったいま、あなたを知ったばかりかもしれません。
無料で、五分で、匿名で見ています。
そこから講座に申し込むというのは、お金を払い、日程を空け、名前を出し、しかも「習う側」として振る舞うということです。
この二つのあいだには、大きな段差があります。
段差の高さは、金額だけで決まるものではありません。
時間、手間、そして人前で立場を明かすことへの抵抗。
この三つが積み重なっています。
もうひとつ、見落とされやすいことがあります。
「よかったら」という言い方は、相手に判断を丸ごと預けています。
判断を預けられた人は、たいてい「いまはやめておこう」を選びます。
迷ったときの初期値は、何もしないことだからです。
これは、押し売りをすればいいという話ではありません。
段を低くすればいい、という話です。
いきなり講座ではなく、その手前に、無料で、五分で、匿名でできることを置く。
すると相手は判断を迫られません。
跳ばずに、一段上がるだけで済みます。
3.2 階段は三段
置く段は、三段です。
多すぎると管理できず、少なすぎると跳べません。
一段目は、知る段です。
ここでは相手に何も求めません。
読むだけ、見るだけで完了します。
あなたの考え方の輪郭が伝わればそれで十分です。
二段目は、試す段です。
ここで初めて、相手が少しだけ動きます。
何かを受け取る、名前を書く、案内を受け取る状態になる。
この段の目的は、相手をあなたの近くに置くことです。
売ることではありません。
三段目は、決める段です。
ここで初めて、商品の話をします。
日程、金額、内容、向いている人と向いていない人。
決めるための材料をすべて出します。

大切なのは、それぞれの段で「相手がすること」が違うということです。
同じ段のことを何度出しても、上には進みません。
たとえば、役に立つ解説をどれだけ出しても、それは一段目です。
一段目が百本あっても、二段目は生まれません。
反対に、募集の告知ばかり出しているのは三段目だけの状態で、上ってくる人がいない階段の最上段に立っているようなものです。
各段でやることを、はっきり決めてしまいましょう。
一段目でやること。
悩みの箱と方法の箱から出す。
終わりに何も求めない。
相手が「この人は分かっている」と思えれば成功です。
二段目でやること。
受け取れるものを一つだけ用意する。
受け取り方を一つだけ書く。
二つ書くと選ぶ作業が発生して止まります。
三段目でやること。
判断の箱から出す。
向いていない人も書く。
書いたほうが信用されますし、後で困りません。
二段目に置くものには、条件があります。
三つあります。
一つめは、その場で完結することです。
受け取ってから使えるまでに、こちらとのやり取りが必要なものは向いていません。
日程を合わせる、返信を待つ、という工程が入った時点で、二段目ではなくなります。
二つめは、五分以内で終わることです。
長い教材を渡すと、受け取った人の中で「後で見よう」に変わります。
後で見ようは、たいてい見ないという意味です。
短いほど、実際に使われます。
三つめは、次の段の話が入っていないことです。
受け取った先に募集が待っていると、次から警戒されます。
二段目は、二段目だけで完結させてください。
この三つを満たすものは、たいてい、あなたがすでに持っています。
作らなくていい、というのはそういう意味です。
そして、二段目を作ったあとにやることは、一つだけです。
一段目のすべての終わりに、二段目への案内を置くこと。
過去の発信にも、可能なものは後から追記してください。
三百本のうち、よく見られている上位の十本だけでも十分です。

例文を一つだけ出します。
二段目に上がってもらうための、動画の終わりに置く三行です。
「この続きで、寝る前の三十秒でできる分だけをまとめた短い動画を用意しています。受け取りたい方は、下のリンクから登録してください。登録すると、すぐに届きます」
短いのですが、必要な要素は入っています。
何が受け取れるか。
どのくらいの手間か。
どうすれば届くか。
この三つです。
ここに講座の話は出しません。
出すと、二段目が三段目になってしまい、跳べなくなります。
この本の最後にも、同じ形の誘導を一つだけ置いています。
ただ、いま見に行くのはおすすめしません。
先に、次の節で自分の階段を確かめてください。
3.3 いま持っている無料特典は、どの段にあるか
すでに公式アカウントや無料の配布物を持っている方も多いと思います。
ここで確かめたいのは、それが何段目にあるかです。
同業者向けに発信している治療家のチャンネルを調べたとき、配っているものの内訳は、動画がとび抜けて多く、次にセミナーの案内、テンプレート、個別相談、資料、診断と続きました。
この並びには、意味があります。
動画は、二段目としてよくできています。
受け取るのが簡単で、見るのも簡単で、しかも作る側はすでに持っています。
第2章で見た在庫が、そのまま二段目の中身になるということです。
一方で、個別相談は二段目に置くには重い。
無料であっても、日程を合わせて、一対一で話すというのは、多くの人にとって三段目に近い行為です。
無料相談を入口に置いているのに反応が薄い、という場合、たいていこれが理由です。
診断やチェックリストは、二段目の中でも軽いほうです。
答えるだけで結果が返ってくるので、相手は自分から動いたという感覚を持ちます。

自分の階段を書き出してみてください。
紙に三段の階段を描いて、いま持っているものをそれぞれの段に置くだけです。
このとき、よくある形が二つあります。
一つは、一段目と三段目しかない形です。
役に立つ発信と、講座の募集。
あいだが空いています。
この場合、やることは一つで、二段目を作ることです。
新しく作らなくても、既存の動画を三本まとめて配るだけで成立します。
もう一つは、二段目に物が多すぎる形です。
特典が五つあり、それぞれ受け取り方が違う。
これは選ぶ作業が発生するので、結果として誰も受け取りません。
二段目は一つに絞ってください。
3.4 段が飛んでいるときに起きること
段が飛んでいると、決まった症状が出ます。
心当たりがあるかどうか、確かめてみてください。
一つめ。
再生数やフォロワーは増えているのに、問い合わせが増えない。
これは一段目だけがある状態です。
二つめ。
登録者は増えるのに、そこから先が動かない。
これは二段目までしかなく、三段目が置かれていないか、置かれていても見えていない状態です。
案外多いのが、案内はしているけれど、日程や金額を書いていないという形です。
決めるための材料がないと、決められません。
三つめ。
募集をかけたときだけ反応が静かになる。
これは一段目から三段目へ直接跳ばせている状態です。
四つめ。
以前から知っている人だけが申し込む。
これは階段が機能しておらず、もともと近い距離にいた人だけが動いているということです。
この状態は、続けても人数が増えません。
どの症状も、直し方は同じです。
足りない段を一つだけ足すこと。
同時に二つ足そうとすると、たいてい途中で止まります。
すでに日々の施術があるので、使える時間は限られています。
一つ足して、二か月ほど様子を見る。
この速度で十分です。
もう一つ、注意しておきたいことがあります。
段を足したあと、すぐに結果が出ないことがあります。
これは失敗ではなく、上の段に人がたまるまでに時間がかかるだけです。
二段目を作った月に三段目が動くことは、ほとんどありません。
順番に上がるものなので、順番に時間がかかります。
ここで焦って三段目の押しを強くすると、二段目に残っていた人が離れます。
押しを強めるのではなく、二段目に入る人の数を増やす。
直す場所は、いつも一つ下の段です。
どこが詰まっているかは、三つの数を見れば分かります。
難しい分析はいりません。
一つめは、一段目を見た人の数です。
再生数や表示数がこれにあたります。
二つめは、二段目に入った人の数です。
受け取った人、登録した人の数です。
三つめは、三段目に進んだ人の数です。
申し込み、あるいは問い合わせの数です。
この三つを、月に一度だけ紙に書きます。
増減の理由を考える必要はありません。
三つのうち、どこで急に減っているかだけを見ます。
一つめから二つめで大きく減っているなら、二段目の案内が見えていないか、受け取るものが重すぎます。
二つめから三つめで減っているなら、決めるための材料が足りていません。
そして、一つめが十分にあるのに二つめがほとんどゼロという状態が、いちばん多く見られます。
この場合、増やすべきは発信の本数ではありません。
案内を置く場所です。
数字を見る目的は、成果を測ることではなく、次に触る場所を一つ決めることです。
それ以上のことは、この三つの数からは分かりませんし、分かる必要もありません。
3.5 同業者向けと一般向けで、階段は別に作る
最後に、この本の読者の多くに関わる話をします。
治療家として発信している方の中には、患者さんに向けた発信と、同業者に向けた発信を、同じ場所で行っている方が少なくありません。
実際、同業者向けのチャンネルを調べても、その多くが両方の要素を含んでいました。
けれど、この二つは階段を分けたほうがうまくいきます。
理由は、二つの相手で、上りたい理由がまったく違うからです。
患者さんが上りたいのは、自分の体の困りごとを解決するためです。
三段目にあるのは、施術や継続的な通院です。
同業者が上りたいのは、自分の仕事の先行きを決めるためです。
三段目にあるのは、講座やスクールです。
そして同業者は、あなたの技術だけでなく、あなたの判断や経営の考え方を見ています。

同じ場所に両方を置くと、どちらの相手も少しずつ居心地が悪くなります。
患者さんは経営の話に興味がなく、同業者はセルフケアの話をすでに知っています。
分ける方法は、媒体を分けることだけではありません。
曜日で分ける、シリーズ名で分ける、受け取れるものを二つに分けて入口で選んでもらう。
どれでも構いません。
大事なのは、二段目から先を混ぜないことです。
一段目は混ざっていても、実はあまり困りません。
技術の解説は、両方の相手が見ます。
混ぜてはいけないのは、二段目と三段目です。
そして、階段は一度作れば終わりではありません。
三段目まで上った人は、あなたにとって最良の素材になります。
その人がどこで迷ったか、何が決め手だったか。
それを聞いて、一段目の言葉に戻す。
この循環ができると、発信の中身が毎回少しずつ相手の言葉に近づいていきます。
新しいことを増やさなくても、精度だけが上がっていく。
この本が目指しているのは、その状態です。
3.6 数字で釣る誘導は使わない
階段の話を終える前に、使わないと決めている型を挙げておきます。
実際によく見かける形です。
一つめは、成果の数字を前に出す型です。
「月商がこれだけ増えました」「これだけの人が結果を出しました」という形。
二つめは、価値を金額で言い換える型です。
「本来は高額の内容を、いまだけ無料で」という形。
三つめは、期限と人数で急がせる型です。
「今日まで」「あと数名」という形。
どれも、二段目や三段目でよく使われます。
効くこともあります。
それでも、この本では扱いません。
理由は三つあります。
一つめ。
再現性を保証できません。
同じことをして同じ結果になるとは限らず、それが分かっていて数字を出すのは、約束にならない約束をすることになります。
二つめ。
医療や施術に関わる広告には規制があります。
効果や成果を断定する表現は、そこに近づきます。
近づかないところで書けるなら、近づかないほうが安全です。
三つめ。
これがいちばん重いのですが、一度その言い方を使うと、以後ずっとその基準で見られます。
数字で来た人は、より大きな数字が出たときに、そちらへ移ります。
基準を数字にすると、勝ち続けなければならなくなります。
では、代わりに何を書けばいいのか。
範囲を限定した事実です。
「この方の場合は、こういう経過でした。同じようになるとは限りませんが、考え方は共通しています」。
こう書けば、誇張になりません。
もう一つは、手間と中身です。
「三十秒でできます」「一枚にまとめました」。
どれくらいの負担で、何が手に入るか。
これは事実なので、書いても嘘になりません。
数字を出さずに書けることは、思っているよりずっと多くあります。
そしてこの書き方は、あなたが日々、目の前の一人に説明しているときの言い方と、たぶん同じはずです。
診察の場で「必ず治ります」と言わない人が、発信のときだけ言い切るのは、おかしなことです。
同じ人が書いている、と分かる状態を保つこと。
それが、いちばん強い誘導になります。
次の章では、これを続けるための仕組みを扱います。
設計ができても、続かなければ意味がありません。
そして続かない理由は、やる気ではないところにあります。
第4章 書けない理由を、仕組みで消す





設計ができても、続かなければ形になりません。
そして、続かない理由を「自分の意志が弱いから」と考えている方が、とても多いのです。
毎日施術をして、勉強も続けている人が、意志が弱いということはありません。
止まっているのは、意志ではなく仕組みです。
この章では、その仕組みを三つ作ります。
4.1 毎回ゼロから考えているから止まる
書けなくなる瞬間を、思い出してみてください。
たいてい、画面を開いた直後です。
何を書くかが決まっていない状態で、書く道具の前に座っている。
この時点で、二つの作業が同時に発生しています。
決めることと、書くことです。
この二つは、頭の使い方がまったく違います。
決めるのは選ぶ作業で、書くのは並べる作業です。
同時にやると、どちらも進みません。
さらに悪いことに、決める作業には終わりがありません。
もっと良いテーマがあるのではないか、と考え続けられてしまいます。
そうして、開いてから三十分たっても一行も進まない、という状態になります。
対策は単純です。
決める作業と、書く作業を、別の日にします。
決める作業は、第2章でやった棚卸しがそのまま該当します。
箱に素材が入っていれば、書く日には「箱から一つ取り出す」だけで済みます。
選ぶのではなく、取り出す。
この違いが、開始までの時間をほとんどゼロにします。
もう一つ、効く方法があります。
書き始める場所を、一行目にしないことです。
一行目は、いちばん難しい場所です。
ここから書こうとするから止まります。
先に真ん中の内容を書き、一行目は最後に付ける。
この順番にするだけで、詰まる回数が明らかに減ります。
もう一つ、時間の作り方についても触れておきます。
まとまった時間ができたら書こう、と考えているうちは、たいてい書けません。
施術の仕事は、まとまった時間ができにくい形をしているからです。
予約の合間、片付けのあと、一日の終わり。
あるのは細切れの時間です。
だから、細切れの時間で終わる形に、作業のほうを合わせます。
十分で終わる作業を、あらかじめ決めておいてください。
たとえば「質問メモを三行書く」「箱から一つ取り出して題名だけ付ける」「録音を一本撮る」。
どれも十分かかりません。
まとまった時間が必要なのは、実は書く作業ではなく、決める作業のほうです。
そして決める作業は、月に一度の棚卸しにまとめてあります。
だから、日々やることは全部、十分単位に割れます。
続かない人の多くは、意志ではなく、作業の大きさで止まっています。
作業を小さくすれば、意志の量は同じでも進みます。
4.2 型を三つ持つ
書く作業をさらに軽くするために、型を用意します。
三つあれば足ります。
一つめは、悩み型です。
相手が困っている場面から入り、なぜそうなるかを一つ言い、じゃあどうするかを一つ言って終わります。
第1章で見た四つの順番が、そのまま型になっています。
素材は悩みの箱から取ります。
二つめは、手順型です。
やることを順番に並べます。
三つまでにします。
四つ以上あると、読んだ人が覚えられません。
素材は方法の箱から取ります。
三つめは、判断型です。
「こういうときはやる、こういうときはやらない」という基準を出します。
反対の側から書くと強くなります。
「これはやらないほうがいいと考えています。理由は三つあります」という形です。
素材は判断の箱から取ります。

型を持つことの意味は、質を上げることではありません。
始められるようにすることです。
型が決まっていれば、素材を取り出した時点で、書く形が決まります。
悩みの箱から取り出したら、悩み型に入れる。
それだけです。
ここで気をつけたいのは、型を増やさないことです。
四つめ、五つめを作りたくなりますが、増やすと選ぶ作業が戻ってきます。
三つで足りないと感じたときは、たいてい型が足りないのではなく、箱の中身が偏っています。
三つの型が、実際にどう出てくるかを、短い形で並べておきます。
悩み型なら、こうなります。
「洗濯物を干していて、途中で腕を下ろしたくなることはありませんか。腕の付け根だけで上げようとすると、途中で止まります。上げる前に、肩を一度うしろに引いてみてください。今日の洗濯のときに、一回だけ試してもらえたらと思います」
手順型なら、こうです。
「朝の一歩目がつらい方に、順番だけお伝えします。一つめ、起きる前に足首をゆっくり十回動かす。二つめ、ベッドの縁に座って足の裏を床につける。三つめ、そこから立ちます。順番が大事で、三つめから始めるとつらいままです」
判断型なら、こうです。
「痛いところから触らない、と決めています。理由は、痛みが出ている場所は、たいてい結果のほうだからです。原因の側を先に触るほうが、戻りが少ないと考えています。もちろん例外はありますし、その場合は最初にお伝えします」
どれも短く、どれも普段の説明の言い換えです。
特別なことは一つも書いていません。
型に慣れてくると、話しながら型に入れられるようになります。
そうなると、施術中の説明そのものが、そのまま素材として整った形で出てきます。
つまり、型は発信のためだけのものではありません。
目の前の相手に伝わる説明の型でもあります。
同じものを二つの場所で使えるので、練習する場所は毎日あることになります。
4.3 一本の素材を、媒体ごとに置き直す
素材が一つあるとき、それを一回しか使わないのは、もったいない使い方です。
同じ素材は、置き場所を変えるだけで、何度でも使えます。
書き直すのではなく、置き直すという感覚です。
たとえば、施術中によく答えている質問が一つあるとします。
短い動画にするなら、場面から入って三十秒で終わらせます。
長い動画にするなら、同じ内容に例を二つ足して、五分にします。
文章の投稿にするなら、結論を先に置いて、理由を三つ並べます。
院内の掲示にするなら、一枚に収まる長さに削ります。
中身は同じです。
長さと、順番と、最初の一行だけが違います。

置き直しには、もう一つの効果があります。
同じことを違う形で何度も見た人は、その内容をあなたのものとして覚えます。
一回だけ見たものは、内容だけが記憶に残り、誰が言ったかは残りません。
繰り返しは、しつこさではなく、結びつきを作る作業です。
言い方を変えるだけで、飽きられることはありません。
むしろ、毎回違うことを言っている発信のほうが、何の人か分からないまま忘れられます。
一つの素材から、四つの置き直しを作る。
これを一つの単位にすると、月に四本の素材で、十六回分の発信になります。
置き直しをするときに、一つだけ守ってほしいことがあります。
媒体ごとに、着地点を変えないことです。
短い動画では二段目に案内し、長い動画ではいきなり講座を案内し、文章では何も案内しない。
こういう状態になると、見る人によって行き先が変わってしまいます。
同じ素材なら、行き先も同じにしてください。
行き先が同じであれば、どこで出会っても、同じ階段の一段目に立つことになります。
これが、まとまりを作るということです。
反対に、置き直してはいけないものもあります。
個別の症例です。
同じ話を場所を変えて何度も出すと、その方が特定されやすくなります。
症例を扱うときは、一回だけにして、細部は必ず変えてください。
置き直しは量を増やすための技術ですが、量を増やしてはいけないものが一つだけある、と覚えておいてください。
4.4 続ける単位を「本数」ではなく「棚卸し」にする
最後に、続け方そのものを変えます。
多くの方が、続ける目標を本数で決めています。
週に二本、月に十本。
分かりやすいのですが、これには弱点があります。
本数を目標にすると、忙しい週に落ちた瞬間、遅れとして積み上がります。
取り戻せないと感じたところで、やめてしまう。
これはやる気の問題ではなく、目標の作りが借金と同じ形になっているからです。
代わりに、棚卸しを単位にします。
月に一度、時間を決めて、素材を集める日を作ります。
二週間分のメモを見返し、質問を書き出し、箱に振り分ける。
ここまでが棚卸しです。
所要時間は一時間ほどです。
出す作業は、そのあとに残った時間でやります。
多く出せた月もあれば、少ない月もある。
それでかまいません。
棚に在庫があるかどうかだけを見ます。

この形にすると、止まらなくなります。
理由は二つあります。
一つは、遅れが積み上がらないこと。
もう一つは、棚卸しの日だけを守ればよく、守る対象が月に一度だけになることです。
棚卸しの日にやることも、決めておくと迷いません。
はじめに、二週間分の質問メモを見ます。
同じ内容が三回以上出ているものに印をつけます。
ここまでで十五分ほどです。
次に、印のついたものを三つの箱に振り分けます。
悩みか、方法か、判断か。
迷ったら悩みの箱に入れておいてください。
あとから移せます。
ここで十五分。
続いて、箱の中身を数えます。
どの箱が空いているかだけを見ます。
空いている箱があれば、次の月はそこから優先して出します。
五分もかかりません。
最後に、前の月に出したものの中で、自分の話が返ってきたものを一つだけ選びます。
第1章で触れた指標です。
選んだ一本は、次の月に置き直して、もう一度出します。
二十分ほどです。
合わせて一時間弱。
これを月に一度だけ、日を決めてやります。
この一時間があるかないかで、残りの一か月の重さがまったく変わります。
棚に何が入っているかを知っている状態と、知らない状態の差だからです。
そして棚卸しを続けていると、あるとき在庫が余り始めます。
出すより早くたまるようになる。
この状態になれば、発信で困ることはもうありません。
それでも、止まる月はあります。
繁忙期、体調、家のこと。
理由はいくらでもあります。
大事なのは、止まったあとにどう戻るかです。
戻り方は、決めておいてください。
「止まったら、質問メモを三行書くところから戻る」。
これだけです。
いきなり発信から戻ろうとすると、間が空いたことへの言い訳を書きたくなります。
「お久しぶりです」「更新できていませんでした」。
この一行を書くために、また止まります。
言い訳は要りません。
読んでいる人は、あなたが何日空けたかを数えていません。
次の一本を、何もなかったように出せば、それで戻れます。
そして、戻る場所を棚卸しにしておくと、戻ることが軽くなります。
出すのではなく、集めるところから始めるからです。
集めるのは、施術をしていれば勝手にたまるものを書き写すだけの作業です。
続けるというのは、止まらないことではありません。
戻り方を決めておくことです。

ここまでで、伝わる言葉、素材、階段、そして続ける仕組みがそろいました。
最後の章では、少し引いた位置から一つの選択肢を検討します。
積み上がった発信を、一か所にまとめるという話です。
第5章 本という選択肢




最後の章では、一つの選択肢を検討します。
積み上がった発信を、一か所にまとめるという方法です。
先にお伝えしておくと、この章は「本を出しましょう」という話ではありません。
向いている場合と、向いていない場合があります。
向いていないときにやると、時間だけが減ります。
判断するための材料を出しますので、読み終えたところで、やる・やらないのどちらかを決めてください。
決めることが、この章の目的です。
5.1 発信が散らばると、たどり着けない
発信を続けていると、いいことが起きます。
数が増えます。
同時に、困ったことも起きます。
増えた分だけ、散らばります。
三年前の動画と、去年の投稿と、今月の配信。
それぞれ良い内容なのですが、置かれている場所が違い、並び順もばらばらです。
あなたの中ではつながっていても、初めて見た人にはつながって見えません。
初めて来た人が最初にすることは、たいてい「この人はどういう人か」を確かめることです。
そのときに目に入るのが、直近の三本だとします。
その三本が、たまたま細かい技術の話だったら。
あるいは、たまたま募集の告知だったら。
その三本が、あなたの全体像として受け取られます。

これを直す方法は、実はいくつもあります。
まとめのページを作る。
再生リストを整える。
よく読まれている順に並べ替える。
どれも有効ですし、費用もかかりません。
まずここからで十分です。
ただ、これらの方法には共通の限界があります。
相手が自分で選んで、自分で順番を決めて読むという形は変わらない、ということです。
順番を、こちらで決めた状態で渡せるかどうか。
ここが分かれ目になります。
散らばりの影響が、いちばん大きく出る場面があります。
同業の方から見られるときです。
患者さんは、直近の三本を見て「よさそうだ」と思えば来てくれます。
判断が軽いのは、失うものが少ないからです。
けれど、講座やスクールを検討している同業の方は、そう見ません。
その人にとっては、時間もお金も、そして自分の進む方向も関わってきます。
だから、あなたの発信を何本も遡って見ます。
そのとき、三年前の考えと今の考えが違っていることがあります。
これ自体は当然のことで、変わっていないほうが不自然です。
問題は、変わった理由が書かれていないことです。
理由のない変化は、迷っているように見えます。
理由のある変化は、深まったように見えます。
散らばった状態というのは、変化の理由が抜け落ちた状態でもあります。
一か所にまとめるということは、その理由を書き足す作業でもある、ということです。
これは本でなくてもできます。
「以前はこう考えていたが、いまはこう考えている。きっかけはこれだった」。
この一本を出すだけで、遡って見た人の受け取り方が変わります。
5.2 まとまった量で読まれると、判断が変わる
同じ内容でも、断片で受け取るのと、まとまった量で受け取るのとでは、読んだ後に起きることが違います。
断片で受け取ると、内容が残ります。
「この方法は使えそうだ」という感想です。
まとまった量で受け取ると、考え方が残ります。
「この人は、こういう順番で物事を見る人だ」という理解です。
第2章で、判断の箱がいちばん効くという話をしました。
判断は、一本の発信では伝わりにくいものです。
一つの判断を見ただけでは、たまたまかもしれないからです。
いくつも並んで初めて、基準として見えてきます。
まとまった量というのは、そのための入れ物だということです。

もう一つ、量が持つ働きがあります。
読む側は、量そのものを情報として受け取ります。
長い時間をかけて考えてきた人だ、という判断です。
これは内容の良し悪しとは別に働きます。
だから、量を出すこと自体に意味があるのですが、ここには注意も要ります。
中身のない量は、読み始めてすぐに分かります。
分かった瞬間に、逆の判断が働きます。
量は、味方にも敵にもなるということです。
中身のある量と、ない量の違いは、どこに出るのでしょうか。
判断が入っているかどうかです。
方法だけを並べると、量は簡単に作れます。
セルフケアを五十個並べれば、それだけで一冊分になります。
けれど読んだ人には、何も残りません。
五十個のうちどれを選べばいいかが書かれていないからです。
判断が入っていると、量は自然に減ります。
「この場合はこれ、この場合はやらない」と書くと、書ける数が限られてくるからです。
減った分だけ、残ったものが強くなります。
だから、まとめるときにやることは、集めることだけではありません。
捨てることです。
三十分の説明が五本あれば量としては足りると書きましたが、そのまま並べるのではなく、重なっている部分を一つにまとめ、判断の入っていない部分を落とします。
落としたあとに残るものが、あなたの考え方の輪郭になります。
そして、あなたの場合、量はすでにあります。
作るのではなく、集めることになります。
第2章の棚卸しを一度でもやっていれば、その時点で相当な分量が手元にあるはずです。
三十分の説明が五本あれば、それだけで一冊分に近い量になります。
5.3 本を作る前に決めておく三つのこと
もし作ると決めたなら、書き始める前に決めることが三つあります。
この三つが決まっていない状態で始めると、途中で必ず止まります。
一つめは、読者です。
誰に向けて書くかを一人に決めます。
「治療家の方」では広すぎます。
第1章でやった主語の絞り方を、そのまま使ってください。
開業して二年目の人なのか、十年やっていて次を考えている人なのか。
両方に向けて書くと、どちらにも届きません。
二つめは、次の一歩です。
読み終えた人に、何をしてほしいのかを一つだけ決めます。
ここが決まっていないと、最後の章が書けません。
そして、この次の一歩は、第3章の階段のどこかに置かれているはずです。
本は、階段の外にある別のものではありません。
多くの場合、一段目と二段目をまとめて担う場所になります。
三つめは、期間です。
いつまでに終えるかを決めます。
決めないと、施術の合間に少しずつ、という形になり、たいてい一年たっても半分です。

この三つが決まると、書く量が自動的に決まります。
読者が決まれば、説明を省ける範囲が決まります。
同業者向けなら、基礎の説明は要りません。
一般向けなら、専門語は全部言い換えることになります。
次の一歩が決まれば、終わり方が決まります。
終わり方が決まっている文章は、途中で迷いません。
期間が決まれば、一日にどれだけ進めるかが決まります。
三つが決まったら、次にやるのは章立てです。
章立ての作り方は、ゼロから考える必要がありません。
第2章で作った三つの箱を、そのまま順番に並べるだけです。
前半に悩みの箱を置きます。
読んだ人が、自分のことだと気づくための部分です。
中盤に方法の箱を置きます。
実際にどうするかの部分です。
後半に判断の箱を置きます。
何を選び、何を選ばないかの部分です。
そして最後に、次の一歩を置きます。
これは第3章で決めた階段の、どこか一段です。
この並びにすると、読み終えた人の中で、気づく・分かる・決めるの順番がそろいます。
順番がそろっていれば、多少文章が荒くても、最後まで読まれます。
反対に、方法から始まる本は、途中で閉じられます。
なぜその方法が必要なのかが、まだ立っていないからです。
書く順番は、この並びどおりでなくても構いません。
書きやすいところから書いて、最後に並べ替えれば済みます。
むしろ、いちばん書きやすい章から始めたほうが、止まりません。
一つだけ決めておくとよいのは、一章あたりの長さです。
全体の分量を章の数で割って、目安を出しておきます。
目安があると、書きすぎも書き足りなさも、その場で分かります。
5.4 本にしないという判断も含めて考える
ここまで読んで、やらないという判断をするのも、正しい選択です。
向いていない場合が、はっきりあります。
一つめは、素材がまだ足りない場合です。
棚卸しをして、箱がほとんど空だったなら、先にやることは発信のほうです。
中身のない量は逆に働く、という話をしました。
急ぐ必要はありません。
二つめは、階段の二段目が空いている場合です。
この状態で本を作っても、読んだ人の行き先がありません。
先に二段目を作るほうが、確実に効きます。
順番としては、階段が先です。
三つめは、いま時間が取れない場合です。
期間を決められないなら、決められる時期まで待つほうが健全です。
半分書いて止まった原稿は、再開のときにほとんど使えません。
やらないと決めた場合に、代わりにやることも書いておきます。
まず、棚卸しだけは月に一度続けてください。
素材がたまっていれば、いつでも始められます。
決めていないだけで、できない状態ではなくなります。
次に、まとめのページを一枚だけ作ってください。
テーマごとに三本ずつ並べて、初めての人向けの一本を先頭に置く。
これだけで、散らばりの半分は解消します。
費用はかかりません。
そして、変わった理由を一本書いてください。
前の節で触れた「以前はこう考えていたが、いまはこう考えている」という一本です。
これは、まとまった量の代わりに、考え方を伝える働きをします。
この三つをやっておくと、あとから作ると決めたときに、着手がとても軽くなります。
素材があり、並びが整理され、考え方の芯が一本書かれている状態から始められるからです。
やらないという判断は、先送りではありません。
順番を選ぶことです。

反対に、向いている場合もはっきりしています。
すでに何年も発信していて、素材が余っている。
階段はできていて、二段目に人が入っている。
そして、同じ説明を何度も繰り返していることに、少し疲れている。
この三つがそろっているなら、まとめる価値があります。
特に三つめは、見落とされやすい合図です。
何度も同じことを話しているというのは、それが必要とされているということであり、同時に、一か所にまとまっていないということでもあります。
最後に、一つだけ付け加えます。
本にするかどうかは、手段の話です。
目的は、発信と次の一歩をつなぐことでした。
つながっているなら、本はなくても構いません。
つながっていないなら、本を作っても、そこだけで解決することはありません。
道具を増やす前に、階段を見てください。
この本を通してお伝えしたかったのは、結局そこに尽きます。
おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
はじめに書いたことを、もう一度だけ繰り返します。
発信が足りないのではありません。
発信と、その次の一歩が、つながっていないだけです。
この本には、新しい媒体も、新しい機材も、新しい技術も出てきませんでした。
出てきたのは、言葉を置き換えること、すでにある素材を数えること、あいだに段を置くこと、そして続けるための仕組みを作ることだけです。
どれも、今日から手をつけられます。
誰かの許可も要りませんし、お金もほとんどかかりません。
それでも、全部を一度にやろうとすると、たいてい止まります。
施術という本業があり、使える時間は限られているからです。
だから、やることを一つだけ決めて終わりにしましょう。
決め方は簡単です。
もし、いま自分の発信を並べてみて、悩みの箱と方法の箱ばかりが並んでいるなら、次に出すのは判断の箱からです。
何をやらないと決めているか、なぜその順番でやるのか。
一本書いてみてください。
もし、一段目と三段目しかないなら、二段目を作ってください。
新しく作る必要はありません。
過去の動画を三本選んで、まとめて渡せる形にするだけで、二段目になります。
もし、続かないことに困っているなら、月に一度の棚卸しの日を、カレンダーに入れてください。
一時間で足ります。
出す日ではなく、集める日です。
もし、素材が余っていて、階段もできていて、同じ説明を何度も繰り返すことに疲れているなら、一か所にまとめることを検討する時期かもしれません。
ただし、決めるのは読者と、次の一歩と、期間の三つが決まってからです。
うまく書けるようになる必要は、ありません。
上手な文章より、つながっている文章のほうが、確実に人を動かします。
あなたが毎日、目の前の一人に向かって話している言葉は、すでに十分に届く言葉です。
あとは、それをどこに置くかだけです。
ひとつだけ、あらためて書いておきます。
この本には、成果の数字がひとつも出てきませんでした。
書けないからではなく、書かないと決めたからです。
理由は第3章の最後に書いたとおりです。
あなたが日々やっているのは、目の前の人の体に手をあてて、少しでも楽になってもらうことです。
その仕事の延長線上に、発信も置いてください。
誇張のない言葉で、困っている場面を言いあて、次の一歩を一つだけ差し出す。
それだけで、選ばれる理由は十分に伝わります。
明日やることを、一つだけ決めてください。
それが決まっていれば、この本の役目は果たせています。
読者の方へ
本書で触れた三段の階段の、二段目にあたるものです。
・朝の一歩目がつらい方に向けた、三十秒でできることをまとめた短い動画
登録された方に、そのままお送りしています。
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◯◯◯◯(公式LINE)
この一ページが、本書でお伝えしたことをそのまま使った誘導です。
数字は書いていません。
講座の案内も入れていません。
受け取れるものを一つだけ書き、手間を書き、行き先を一つだけ示しています。
第3章で見た二段目の条件を、そのまま満たした形です。
あなたの本の最後にも、同じ形で一つだけ置いてください。
選ばれる治療院になる、はじめての情報発信
発信と、その次の一歩をつなぐ
著者 ◯◯◯◯
公式サイト ◯◯◯◯
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